開発ストーリー

膜式スマートメーター(NOメーター)

新型メーター開発プロジェクト

尾崎 和也 / 田中 陽(写真)

■スタート

 電力の自由化に続き、平成29年4月のガスの小売り自由化に伴い大手都市ガス事業者様がスマートメーターの採用を前向きに検討する方針を打ち出されました。当社もプロジェクトチームを立ち上げ、膜式スマートメーターの生産体制を平成28年のクリスマスまでに構築することとなりました。膜式スマートメーターは、現在市場で安定した実績があり、当社の主力製品でもあるN型マイコンメーター(膜式メーター)の計量性能を引き継いだもので、高機能なマイクロコントローラにより、流量積算機構部は完全に電子化されています(従来は機械式積算)。また、通信機能も大幅に強化され、従来1カ月に1回であった自動検針は、1時間に1回でも実施可能となっています。今回の開発は、積算機構部(電子化)の設計とメーターを生産する製造セルライン設計までが、私の担当範囲となり、特に積算機構部(電子化)は入社以来機械設計に携わっていた私にとって、富士山のような非常に大きな課題となり、加えてセルラインの設計も専門外の仕事で、毎日が勉強と苦労そして胃の痛い日々となりました。 

■積算機構部の設計 

 まず積算機構部の設計ですが、スマートメーターの心臓部ともいえる電子部品(メインP板、サブP板(MRセンサ)、圧力センサ、モーター遮断弁)の組み合わせは、機械屋の私にとっては初めてでした。構造、原理などの知識を得るため、参考資料の検索からスタートし、部品メーカー様との打ち合わせ、先発メーカー様の知見等、数々の情報を収集し、それらを基礎に何とか形にすることができました。また、信頼性評価については、過去の経験や、大手都市ガス事業者様、先輩諸氏からの助言により進め、評価方法、評価スケジュールをプロジェクトチーム内で共有し、大手都市ガス事業者様との約束通り、クリスマスまでに完了する事ができました。

 
■製造セルラインの設計

 次に製造セルラインの設計ですが、生産ライン設計も積算機構部設計と同様に経験もなく、ゼロからのスタートなので非常に難しい仕事となりました。そこで、約12年ほど前から、元トヨタの方のご指導で当社で実施しているKPS活動(トヨタ式生産カイゼン活動)に基づいて、まず生産台数の設定、設定した台数から算出したタクトタイム、タクトタイムより算出したマシン能力等、KPSの基本から検討(活動)を始めました。今まで耳にする機会はありましたが、いざ自分が実施してみると理に適っておりすぐに取り組むことができ、非常に有効で且つよくできた活動であることが、この初めての仕事を通じて実感できました。
■反省点

 プロジェクトチーム内で立案したスケジュールが思いのほかずれ込み、残業だけでは賄えず、時には休日出勤をすることさえありました。その主な理由は、以下の3点となります。
① 指示不足(忙しいので関係者へ口頭での支持となり、自分の意図が相手に伝わらず、誤った理解となった)
② 時間管理能力不足(スケジュールを立てただけで管理ができていなかった)
③ コミュニケーション能力不足(正しい情報を必要なタイミングで伝達できなかった)

■ゴール

 平成27年8月よりプロジェクトがスタートし、当社の近い将来の主力製品として大手都市ガス事業者様より納入OKのご承認を頂くため、日々担当業務に邁進中です。開発開始から現在まで約1年4ケ月の期間は、その中で電子回路技術、製造ライン設計技術を含め、仕事の基本の大事な要素指示、時間管理、コミュニケーションについて改めて学ぶことができました。自分自身の成長とやりがいを感じることができます。今後新たに学んだ技術に加え、仕事の基本要素をベースに、新たな製品開発にもチャレンジしたいと思っております。